【行政書士監修】車の譲渡証明書・委任状の書き方|見本付きで分かりやすく解説
車の売却手続きを進める中で、多くの方が「これで合っているのかな?」と不安になるのが、「譲渡証明書」と「委任状」の記入です。これらは車の名義変更に不可欠な、法的な効力を持つ重要な書類。もし不備があると、手続きが滞ってしまう可能性もあります。
この記事では、自動車手続きの専門家である行政書士が、譲渡証明書と委任状の正しい書き方を、見本(記入例)を交えながらステップ・バイ・ステップで徹底解説します。この記事を読めば、もう書類作成で迷うことはありません。特に重要なポイントや、よくある間違いやすい点も詳しくお伝えしますので、安心して手続きを進めましょう。
そもそも「譲渡証明書」「委任状」とは?なぜ必要なの?
まず、それぞれの書類が持つ役割を簡単に理解しておきましょう。なぜこれらが必要なのかを知ることで、記入への納得感も深まります。
- 譲渡証明書とは?
その名の通り、「私(旧所有者)が、この車を、あなた(新所有者)に譲渡したことを証明します」という公的な書類です。いつ、誰から誰へ所有権が移ったのかを明確にするために使われ、これがなければ運輸支局での名義変更(移転登録)ができません。 - 委任状とは?
本来、名義変更の手続きは車の新しい所有者と古い所有者が揃って運輸支局に出向いて行うのが原則です。しかし、現実的には困難なため、「名義変更に関する一切の手続きを、買取業者などの第三者に委任します」という意思を示すために必要な書類です。
つまり、この2つの書類は、あなたの大切な愛車の所有権を、スムーズかつ正式に次のオーナーへ移すための「パスポート」のようなものなのです。
【記入例付き】譲渡証明書の書き方・全項目解説
譲渡証明書は、国土交通省のウェブサイトからダウンロードするか、買取店が用意してくれます。ここでは、普通自動車用の様式を例に解説します。

① 車名・型式・車台番号・原動機の型式
この欄は、すべて車検証(自動車検査証)に記載されている通り、一字一句間違えずに転記してください。ご自身で書く場合も、買取店に任せる場合もあります。
② 譲渡人(あなた)の情報
ここが最も重要なパートです。「譲渡人」とは、車を売却するあなたのことです。
- 氏名又は名称:あなたの氏名を記入します。
- 住所:印鑑登録証明書に記載されている住所と完全に一致させてください。住民票の住所と異なる場合があるので注意が必要です。
- 実印を押印:氏名の横に、市区町村役場で登録した実印を鮮明に押印します。認印や銀行印は使用できません。
③ 譲受人(次のオーナー)の情報
「譲受人」とは、車の新しい所有者のことです。通常、この欄は買取業者が記入するため、あなたは空欄のまま渡して問題ありません。
④ 譲渡年月日
車を買取業者に引き渡す日を記入します。不明な場合は、買取店の指示に従ってください。
⑤ 捨印(すていん)
書類の右上の欄外に「捨印」を押すスペースがあります。ここに譲渡人であるあなたの実印を押しておくと、万が一書類に軽微な誤記があった場合に、買取業者が訂正印として使用できます。これにより、書類の再提出といった手間を防げるため、押しておくことを強く推奨します。
【記入例付き】委任状の書き方・全項目解説
委任状も、買取店が用意してくれることがほとんどです。こちらも書き方は難しくありません。
▼委任状の見本(記入イメージ)

① 受任者(手続きを代行する人)
手続きを委任される人(通常は買取業者)の情報を記入する欄です。譲渡証明書と同様、この欄は空欄のまま渡すのが一般的です。
② 委任する手続きの内容
「移転登録」や「変更登録」など、どのような手続きを委任するかを記載します。通常は「移転登録」にチェックを入れるか、そのように記載します。
③ 自動車登録番号・車台番号
こちらも車検証を見ながら、正確に記入してください。
④ 委任者(あなた)の情報
譲渡証明書と同様に、あなたの情報を記入します。
- 氏名又は名称:あなたの氏名を記入します。
- 住所:印鑑登録証明書の住所と完全に一致させてください。
- 実印を押印:氏名の横に、実印を鮮明に押印します。
まとめ:ポイントを押さえれば書類作成は怖くない!
譲渡証明書と委任状の作成は、一見すると難しそうに感じるかもしれません。しかし、ポイントは非常にシンプルです。
- 車検証と印鑑登録証明書を手元に用意する。
- 「譲渡人」と「委任者」の欄に、印鑑証明書と寸分違わぬ氏名・住所を記入する。
- かすれやズレがないように、鮮明に「実印」を押す。
この3点さえ守れば、書類の不備で手続きが遅れるようなことはまずありません。もし不明な点があれば、遠慮なく買取店の担当者に確認しましょう。スムーズな書類作成で、気持ちの良い売却手続きを完了させてください。


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