中古車陸送費の相場は?安く抑えるコツと自走引き取りの損益分岐点をプロが解説
「ネットでずっと探していた理想の1台を、ようやく隣県の販売店で見つけた。でも、取り寄せの見積もりを見たら『陸送費:5万円』という記載が……。これって高すぎないか?」
そんな戸惑いを感じて、この記事に辿り着いたのではないでしょうか。車両本体価格の安さに惹かれて遠方のショップを選んだのに、追加の輸送コストでそのメリットが消えてしまうのは、非常に悔しいものです。
結論から申し上げます。見積書に記載された5万円という陸送費用は、実は工夫次第で1.5万〜2万円ほど安くできる可能性があります。
私は以前、国内最大手の車両輸送会社で配車マネージャーを務めていました。その経験から断言できるのは、販売店が提示する陸送費には、多くの場合「店側の事務手数料(マージン)」が上乗せされているという事実です。
この記事では、元プロの視点から、陸送費の適正相場と、中間マージンを削って最安値で車を手に入れるための具体的なテクニックを解説します。さらに、「自分で取りに行く(自走引き取り)」のと「業者に任せる」のはどちらが本当にお得なのか、その損益分岐点も数値で明らかにします。
中古車陸送費の相場一覧|5万円の提示は妥当なのか?
あなたが提示された「5万円」という金額が妥当かどうかを判断するために、まずは業界の標準的な相場を確認しましょう。陸送費と納車費用は、販売店によって混同されやすい項目ですが、その内訳には明確な違いがあります。
一般的に、中古車の輸送にかかる費用は「距離」と「車種(サイズ)」によって決まります。以下の表は、普通車をドアtoドア(自宅配送)で依頼した場合の概算相場です。
| 輸送距離 | 相場(目安) | 5万円提示の評価 |
|---|---|---|
| 同一県内 (〜50km) | 15,000円 〜 25,000円 | かなり高い(マージン過多) |
| 隣接県 (〜150km) | 25,000円 〜 40,000円 | やや高い(交渉の余地あり) |
| 遠方 (〜500km) | 50,000円 〜 80,000円 | 妥当、あるいは良心的 |
ここで注意すべきは、販売店から提示される見積書の見方です。多くの店では「陸送費」と「納車費用」という言葉を混同して使用していますが、これらは本来別物です。
「陸送費」は純粋に業者に支払う輸送実費ですが、「納車費用」には販売店が車を清掃したり、書類を整えたり、あるいは業者を手配したりするための「事務手数料」が含まれています。もし隣県の店から5万円を提示されているなら、そこには1.5万〜2万円ほどの手数料が上乗せされている可能性が高いと言えます。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 見積もりに「納車費用」と「陸送費」が二重に計上されていないか必ず確認してください。
なぜなら、納車費用と陸送費の二重計上という点は多くの人が見落としがちで、本来は店頭引き渡しなら不要なはずの「納車準備費用」が、陸送を頼んだ瞬間に二重に膨らんでいるケースがあるからです。この構造を理解するだけで、数万円の節約への第一歩が踏み出せます。
陸送費を劇的に安く抑える3つのコツ
プロの現場で使われている、陸送コストを最小化するための具体的なテクニックを3つ紹介します。
1. 「デポ(ターミナル)受け取り」を活用する
最も効果が高いのが、自宅まで届けてもらうのではなく、輸送業者の拠点(デポ)まで自分で取りに行く方法です。デポは全国の主要港や物流センターに設置されており、そこを中継点として利用することで、自宅までの個別配送コストを大幅にカットできます。
2. 輸送業者へ直接依頼する
販売店に手配を任せず、自分で「株式会社ゼロ」などの大手陸送業者に公式サイトの見積もりフォームから直接申し込む方法です。これにより、販売店の中間マージンを完全に排除できます。
3. 「店頭引き渡し」として交渉する
販売店には「自分で手配するので、店頭引き渡し(納車費用なし)にしてください」と伝えます。これにより、不透明な事務手数料をカットした状態で契約を進めることができます。
【徹底比較】自走引き取り vs 業者依頼|損益分岐点はどこ?
「いっそ、新幹線で店まで行って、自分で運転して帰ってきた方が安いのでは?」と考える方も多いでしょう。いわゆる「自走引き取り」です。
しかし、自走には目に見えないコストとリスクが伴います。以下のシミュレーションで、どちらが得かを確認してみましょう。
| 項目 | 自走引き取り(実費) | 業者依頼(デポ受け取り) |
|---|---|---|
| 移動費(交通費) | 新幹線・電車代(例:1.5万円) | デポまでの交通費(数千円) |
| 車両維持費 | ガソリン代・高速代(例:1万円) | 0円 |
| 諸手続き | 仮ナンバー・自賠責(約6千円) | 0円 |
| 時間的価値 | 丸1日(時給換算で約1.5万円〜) | 1〜2時間程度 |
| リスク | 事故・故障・飛び石のリスクあり | 業者の保険でカバー |
| 合計コスト | 約4.6万円〜 | 約3.5万円〜 |
※距離300km程度の想定
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 自走引き取りの損益分岐点は「片道3時間(約200km)」です。
なぜなら、片道3時間を超えると、交通費と自分の時間的価値の合計が、プロに依頼する費用を上回ってしまうからです。また、慣れない中古車で長距離を走るリスクは想像以上に大きく、万が一の故障や事故を考えると、200kmを超える場合はプロに任せるのが「賢い選択」と言えます。
中古車陸送でよくある質問(FAQ)
Q. 2024年問題で陸送費は上がっていますか?
はい、物流業界の労働時間規制(2024年問題)により、ドライバー不足が深刻化しています。そのため、以前よりも「急ぎの配送」が難しくなり、料金も全体的に10〜20%ほど上昇傾向にあります。余裕を持ったスケジュールで依頼することが、安く抑えるコツです。
Q. 動かない車(不動車)でも陸送できますか?
可能です。ただし、専用のウィンチ付き積載車が必要になるため、通常の陸送費の1.5倍〜2倍程度の割増料金が発生するのが一般的です。
Q. 改造車や車高が低い車は断られますか?
極端に車高が低い車(ローダウン車)や、車幅が広い改造車は、一般的な積載車に乗らないため断られるか、特殊車両料金が適用されます。事前に正確なサイズを伝えることがトラブル回避の鍵です。
まとめ:納得のいく総額で、理想の1台を手に入れよう
中古車の陸送費「5万円」は、決して動かせない数字ではありません。
- 相場を知る: 距離別の適正価格を把握し、マージンを見抜く。
- デポ受け取りを検討する: これだけで1.5万円以上安くなる可能性がある。
- 損益分岐点を意識する: 200kmを超えるなら、自走よりもプロに任せる方がトータルで得。
これらのポイントを押さえるだけで、浮いた2万円で新しい車に高性能なドライブレコーダーを付けたり、家族で初ドライブの豪華な食事を楽しんだりすることができます。
「業者の言い値」に振り回されるのではなく、賢い選択をして、納得感のある最高のカーライフをスタートさせてください。
参考文献
- 個人向け車両輸送サービス – 株式会社ゼロ
- 中古車購入時の陸送費相場と注意点 – グーネット中古車
- 自動車の臨時運行許可(仮ナンバー)について – 軽自動車検査協会


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